2.リノベーションって、あり?
(2020/5/2のYouTubeトークライブの内容を再編集したものです)
大端:次にいただいているのが、
「築30年の実家の建て替えを検討中。リノベーションも最近流行ってますが、それも選択肢になりますか?」
足立:なります。大いになりますね。
大端:なにか、注意しなきゃいけないことってないですか?
大木:これなんか、丸山さん(に言ってもらうと)いいんじゃない?
丸山:どういう状態の家かにもよるし、ケースバイケースにはどうしてもなっちゃうんですけど30年ならまあ、使えないことはほぼないと思うんですね。
ただ、(その家が)どんな作りしてるかは、本当に失礼な話、分からないので、もし相談あったら可能性探る意味で、まず調査はさせてもらうんですよ。現況の建物の強さとか、劣化具合とかも含めて調べさせてもらいますね。その上での判断ですよね。
足立:中古住宅を検討する時に、インスペクションを依頼することを必ずやってほしいです。
大端:インスペクション。
足立:既存住宅状況調査(=インスペクション)というのをまずやって、その家がどういう状況なのかどんな性能なのか、築何年でとか、耐震等級とかそういうのを、性能を満遍なく調べた上で、どういう価値で、今後何年もつのか、どこを直せば耐震から何から、性能が上がっていくのか。っていうのを、ちゃんと調べた上で、判断するっていうのが一番大切になってくると思います。
丸山:空き家問題への活動もしているので、使えるものは使いたいという思いも正直あるのでね。個人的にはそういうことは応援したいなあと思って、サポートするようにしてますけどね。
ただまあ、なかなかね。やっぱり建て替えちゃうパターンもありますし。それを進めるパターンもどうしてもあるんですけどね。
建物も良し悪しだけじゃないし、生活する人の相性とかいろんなものを鑑みて、複合的な判断というかたちになるんじゃないかな、と。
ただ、よく「どっちの方が安いですか?」って聞かれるんですけど、それもなかなか答えにくい話だと。
大木:リノベーションに関しては、正直言ってお金の問題じゃないと思うんだよね。
やっぱり、子供の頃からそこの実家で暮らしてきて。で、お父さん・お母さんが歳とってきて、自分がそこのお家に入って…って、そういう思い入れとかね、思い出とかっていうのって、皆さんあると思うので。
その思い出を引き継ぎながらいろいろやるって言うのがリノベーションの一番いいところな気がするんですよね。
正直、「新築とどっちが安い?」って言われたって、「変わんないよ!」って僕は言っちゃいますね。
桑原:そうだね。今、言ったみたいに、「どこまでやるか?」ってことだけど、耐震も断熱改修も全部やるっていうと、新築とそう変わらない金額だね。
大木:逆に「フルでやりたいよ」って話で、「基礎の部分まで強くしたいよ」みたいな話だったら、新築よりお金かかってしまうと思った方がいいと思うね。全部やるのであれば。
大端:じゃあ、「何のためにそのリノベーションをしたいのか」ってところが重要なんですね。
大木:そうそう。なんで、そこをリノベーションしたいのか、とかね。不安を解消して、過去の思い出をもっとより美しくしていきたいって話ならリノベーションの方がいいよね、って話にはなりますね。
桑原:あと、建て替えられない地域っていうのもあるよね。既存の住宅を。
足立:そうそう。あと、何年住みたいのかっていうのも。「この先、何年住むのか?」っていう。
おじいちゃん・おばあちゃんの『終の住処』なのか、若者がずっと住んでいくのか、で、まったく考え方って変わってくるので。「何年?」っていうところは、どうしても必要になってくる。
あとは、地域。そこにずっと住みたいなら、50年住むなら50年後を想像しておいてくださいねっていう。そのまち、地域はどうなってるかっていう。
さっきの空き家活動とかそういう話にもつながっていきますけど、間違いなく浜松だって、どこだって、どの地域も人口減少と共に、(まちの)縮小に今後動いていくので、将来を考えた上で、その場所で本当に中古リノベーションする価値があるのかどうなのか、っていうのは、ちょっと冷静に考えられた方がいいとは思います。
大端:じゃあ、この質問者さんだったら、場合によっては住み替えというか、「別の場所に移る」っていう選択肢も考えなきゃいけないっていうことですかね。
足立:一概には言えないですけど。極力、住み慣れたところなら、そこで建て替えるのが一番いいと思います。
やっちゃいけないことは、新規開発した、要はいままで町がなかったところに新たに町を作って、そこに移動するような建売系とかそういうのは、絶対やっちゃいけない。(将来的に)ゴーストタウンになる可能性が高いので。
大端:あー。一気に人が移住してきて、その人たちが一緒に歳をとっていって何十年かすると一緒にいなくなっちゃうってことですか?
大木:まあ、やっちゃいけないとは言わないけど、例えば20〜30年ぐらい前に分譲地になったところって結構ありますよね?
30代ぐらいで家を建てる世代がいっぱいきて、そっから30年たって、引退して、子供たちがそのまま住み継いでそこを建て替えていく人もいるし、そのまま継ぐ人がいなくて空き家になっちゃたりとか、そういうのがあって。
で、ゴーストタウンになって。要は、出て行っちゃった人ばっかりで、住まれてないところばかりになる可能性はあるから。そういうところまでちゃんと想像していかなきゃ。
これ、土地探しっていうとこにも繋がってくるのかもしれないけど、そういったところまで考えたいよ、ってことにはなりますね。
足立:僕は必ず「昔からある土地にしましょう」って言います。お年寄りからお子さままで、満遍なく常に循環し続けてる地域っていうのは、必要とされてるから残ってるわけだから、そういうところの方がやっぱり将来的には残っていく可能性は高いんじゃないかって思ってますけどね。逆にそういう地域は大事に残していきたいって思いますし。
桑原:なにかしら理由があるわけだからね。みんなそこに住んでいる、っていう。
大木:また、ちょっと話がずれてきそうな感じもあるけど。
足立:ずれたね(笑)
大木:まあ、リノベーションが流行ってるというかさ。テレビ番組なんかでも多く取り上げられたりとかするけど。
正直、浜松あたりだとやっぱりリノベーションっていうのはなかなか進まない現状があるんだよね。それで、丸山さんなんかは空き家問題で活動しているけど。
都会だと、もう建て替えができなくてリノベーションっていう選択肢にならざるを得ない状況があるからね。
丸山:リノベーションって、建ってる状況だと、今のまちの話にもなるけど、
新しいまちじゃなくて、今の既存のまちをそのまま『続ける』って意味合いにもなるので、できればそこにいてほしいっていうのが大前提だし。その方(質問者)はそういう風に考えていただいてるってことだと思うので、応援したいんですけどね。
リノベーションはやっぱりスキルいるんですよね。新築より難しい。
で、どうしてもリノベーションじゃなきゃできないことって、そうそうないんですよね。新築とリノベーションをどうやって比較するのかっていうのは難しいけれども。
俺の経験上だと、今まで「どうしてもリノベーションじゃなきゃ」っていうのは、周りの条件ですよね。「崖に引っかかってるから建て替えができない」とか。
借地だから一回更地にすることができないから、骨組みだけ残してフルリノベでやるとか。
(リノベを)やった人は、ほぼほぼ新築と同じくらい(コストが)かかってるんですよね。
桑原:逆に、壊す手間がかかるから、けっこう費用かかるよね。
丸山:一気に機械で壊した方が楽なんですけどね。
大端:ああ、骨(構造体)だけ残さなきゃいけないってことですね。
大木:あれ、解体大変だよねえ。
桑原:お金のことだけ言えばね。だけど、それでも、リノベーションしてそこに住みたいっていうのは、もう気持ち。郷愁とかさ、思い出とか、そういうものだものね。
丸山:さっきの長期(優良住宅)の話にもつながりますけど、これから作る家っていうのは、将来のリノベーションに耐えうる家づくりっていうのをやってるわけなんですよ。
30年前の家はどうなのか分かんないんから、勝手なこと言えないんだけど、おそらく(リノベーションするのは)大変なんですよね。
だけど、僕らが今からやっていく家って、骨組みがしっかりしてて、後から内装のリニューアルってできるわけなんですよね。
桑原:逆に内装だけでいいかもしれないもんね。
丸山:そうそう。僕らが作った家のリノベーションっていうのは、たぶん、そんなにお金かからずできるんだよね。
大木:今から30年後のリノベーションは楽だよね。「見た目だけ変えればいい」みたいなそんな話になってくると思う。スタイルに合わせて間取り変えるとかね。そういうリノベーションだから簡単だよね。
桑原:長期優良住宅(の制度)ができてからもう10年だから、あと、もう10年くらい経てば、(市場に流通する)中古住宅の履歴も残ってるだろうし、そこそこのことはやってるはずだから、いま丸山さんが言ったみたいにスケルトンにしてまでやらなくてもいいかもしれないよね。
丸山:視点を、長い時間軸で、物事考えるみたいなことで、家づくりを進めてもらえるといいんじゃないかなと。で、そのうえで、リノベーションなのか新築なのか選んでもらえるといいですね。
大端:想像以上に深い話になりますね、リノベーションの話って。
大木:リノベーションはね、深いよ。新築よりよっぽど深いと思うよ。
足立:もう一つだけ言いたいのは、マンションリノベはやった方がいいです。マンションだけは、(戸建ての)既存住宅とは、また考え方が変わるので、けっこう安く、快適な生活ができるようになるので。マンションリノベは、やられた方がいいです、迷っている方がいたら。
ただ、ここにいるメンバーじゃないと、たぶん、ちゃんとしたマンションリノベができないと思うので。下手なところに行くと、設備変えて終わりです。
ここにいるメンバーでやるんだったら、マンションリノベ最高なので。マンションに住まわれてる方、検討された方がいいと思います。
大端:なるほど、検討します!
桑原:また検討するの?
全員:(笑)。(※大端は2020年に自宅マンションをリノベしています)
大端:次、行きますよ(笑)
(続く)
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